電子申請に向けてウォーミングアップが始まります。
経審と言えば、荷物が多い!!
規模が大きい会社さんはカートに書類一式を積み込み、会場入りしてきます。
申請書自体は、どんな規模の業者様でも枚数的にはそんなに差異はございません。
しかし、提示書類が膨大な量なのです。
これを電子申請に対応させるとしたら、データ送信だけでも大変な労力となってしまうことから、令和3年度の経審より提示書類を削減することになりました。
これまで原本を持参し、仮払消費税、仮受消費税、売上をチェックしておりましたが、その3科目の写しで可となりました。
これまで、7ヶ月以上の在籍を確認するために持参要とされておりましたが、他の書類でも確認が可能なため、持参不要となりました。
前回以前に一度提示している技術職員の資格者証の持参は不要となりました。
ただし監理技術者証等、有効期限があるもの及び新たに資格を取得した場合は提示が必要です。
これまで、工事経歴書に記載した工事の請負契約書等の持参件数が申請する業種ごとに上位10件分必要でしたが、上位3件までに削減されました。
具体的には
a.売上の内訳がわかる部分については全ページ必要になります。
売上高のページだけでは不十分な場合は、別途補助元帳等も必要です。
b.仮払・仮受消費税が精算されて0になっていることがわかるもの
税込み処理の場合は不要です。
c.兼業売上がある場合、完成工事高を明確にできる帳簿
完工高or兼業売上高のどちらかの内訳(明細)がわかる書類を持参のこと。
合計額のみの場合は補正扱いになる可能性が...。
まるっと削除です!!
常勤性の確認は、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(写)又は健康保険証(写)で行います。
「記号」「番号」は「マスキング(黒塗り)してください。
これまでは、雇用保険について加入できる年齢に制限があり、例えば後期高齢者に該当する方の場合は、その常勤性を証明できるものが源泉徴収簿(賃金台帳)のみの場合、最低賃金以上の額を支払っていることの証明として賃金台帳を確認しておりましたが、令和2年10月以降は雇用保険の年齢制限が撤廃されたため、賃金の最低額は問わないということになりました。
しかし加入できない方については、常勤性を証明する書類が必要ですので、賃金台帳がそれに該当する場合は要持参となる可能性がございます。
技術職員名簿に記載されている技術職員の資格者証について、前年度以前から記載されている資格については、確認済のため持参は不要となります。
しかし、新たに資格を取得した場合や監理技術者証については、確認が必要となりますので持参をお願いいたします。
これまでの10件持参から3件に削減されますが、特例計算を行っている場合は、振替をしている業種も含めて全て持参する必要があります。
建設キャリアアップシステムによるレベル判定3及び4
こちらにも記載しましたが、建設キャリアアップシステムに技能者登録をしている者で、レベル判定を申請しレベル4と判定された技能者は技術職員としてカウントされ、3点加点となります。
レベル3と判定された技能者は技術職員として2点加点となります。
では、1から2へレベルUPした場合はどうなるのか?
評価の対象になりますが、それは次項(W10の新設)で説明いたします。
現時点では、レベル判定技能者は経審において加点対象となるに留まり、建設業許可においての専任技術者としての適用はまだ先になりそうです。
どちらかというと、先にレベル判定技能者を専任技術者として適用可にしてもらった方が、建キャリへの登録件数も増えそうな気がするんですけどね。
しかし、まずは現場で働く方々のために、処遇の改善が先決ということのようです。
適正な賃金の実現のため、レベル2では年収で300万円、レベル3では576万円、レベル4では620万円等として検討が進んでいるようです。
独立を視野に入れるとしたら、レベルによる技術者としての認定が欲しいところですが、組織に所属していることを前提に待遇UPの視点から考えた場合は、このような方向になるのでしょうね。
最高得点は1名につき、これまで通り 国家資格の1級又は技術士法に基づく資格+監理技術者の6点 です。
6点獲得の技術職員が、建設キャリアアップシステムでレベル4を取得したとしても、それにプラスしてレベル4の得点が加算されることはありません。
だから、建設キャリアアップシステム登録があまり浸透していないんだろうな〜と思います。
しかし、レベル4(ゴールドカード)の技能者様には建退共の掛金バックが1.5倍になるというメリットがございます。
登録基幹技能者
既に経審では3点の加点となっておりますが、この講習を受けるためには条件がございます。
実務経験10年以上、うち職長経験が3年以上
登録鳶・土工基幹技能者については職長経験が8年以上
2職種の登録基幹技能者講習を受講する場合は、2職種分の実務経験と職長経験が必要になります。
詳細はこちらをどうぞ。
登録基幹技能者は、建設キャリアアップシステムでゴールドカードになります。
ゴールドカードになると、建退共で証紙額面の1.5倍がバックされます。(2回目)
社会性についての変更点:知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10の新設)
これまで、雇用保険の納入通知書及び領収証、健康保険及び厚生年金の領収証は原本提示でしたが、令和3年度からは写しで可となりました。
政府労災の申告書及び領収証は写しで可、法定外労災については、これまで通り原本提示となります。
ただ、写しで可の書類は原本提示でも問題ナシなので、今まで通りでも良いのかもしれません。
年明けから、社会性の様式の最下段に新しい項目が加わっていることに気付いた方も多いと思います。
令和3年度からCPD(Continuing Professional Development)取得単位数が加点の対象となります。
多様化するニーズに応えるためには、実務における知識や技術を常にバージョンアップしていく必要がある、ということで、建設業に携わる技術者様に対して幅広い継続教育プログラムが提供されることとなりました。
この制度自体は、2005年から始まっております。
取得単位を個別に記入する欄が技術職員名簿に加わります。1人当たり30ポイントが上限です。
技術職員名簿に記載されない、CPD単位を取得した者(主任技術者の要件にならない1級技士補、2級技士補、及び経審に関係のない業種についての有資格者等)の氏名を記載します。
加点の対象は、審査基準日以前1年間のCPD取得単位です。
技術職員名簿に記載されている方もされていない方も、CPDの単位数を証する書面の写しの提示が必要です。
これまでは技術職員は、有資格者(10年以上の実務経験者を含む)でしたが、令和3年度からは細かく分かれることになります。
技術者とは、監理技術者・主任技術者・経審の受審業種ではない業種の有資格者・1級技士補および2級技士補のことを指します。
技能者とは、審査基準日前の3年間に建設工事の施工に従事した者で、作業員名簿に氏名が記載される者を指します。
技術職員とは、監理技術者、主任技術者、主任技術者+1級技士補、建設キャリアアップシステム登録者でレベル4・3認定者、を指します。
ちょっとややこしいですが、そのような区分に分かれます。
技術職員名簿の記載人数+CPD単位を取得した技術者名簿の記載人数= 技術者数(Z1)
技能者については、新たに技能者名簿という書式が加わります。
@ 実務経験 3 年以上 10 年未満で施工体制台帳に記載があり、使用人数の「その他の技術関係使用人」に該当する者。
A 技術職員名簿に記載されている者(施工管理のみの者を除く)
B建設キャリアアップシステムの技能者カードを保有していること。
Cレベル判定にて、審査基準日の 3 年以上前よりもレベルアップしていること。
@BCまたはABCに該当する方が評価の対象となります。
@の場合の例
建設業界Welcomeで入社時にカード発行
↓
技能講習を最低1つ受講
↓
勤続3年でレベル1から2へUP。
審査基準日が令和2年12月31日と仮定した場合、平成29年12月31日におけるレベルよりも1以上UPしている必要があります。
しかし、システム導入は平成31年4月1日からなので、開始日からカードを保有していたとしても3年にはなりません。
ただ、レベル判定は年月を遡って申請することが可能です。
起算点については、建設キャリアアップシステムに登録されている建設関係の最も古い資格の取得年月とされています。(技能講習手帳等に記載があるはずです。)
従って、カード発行を平成31年4月と仮定した場合、審査基準日の令和2年12月の間にこちらで挙げているレベルUPの基準をクリアし、レベル判定を受けていれば評価対象となります。
...と言ってもちょっとややこしいので、ご不明な点は、お気軽にお問合せください。
Aのみの場合、技能者名簿には記載不要(静岡県では人数のみ記載)
*令和3年度は様子見で、このような措置になったようです。
そうなると、来年度からは変わる可能性が大きいですね。
「名簿」の名の通り、全員の氏名を記載することになるかもしれません。
レベル2→3、レベル3→4にUPした場合も勿論加点対象になりますが、急にレベル判定条件のハードルが上がるので、これ如何に。
蛇足ですが、様式5号に技能者を沢山記載してしまうと、点数が下がるという現象が起きる場合がございます。
レベル向上者数及びCPD単位取得者数がポイントになるようです。
技術職員の点数にはプラスの影響はありませんが、技術職員さんも建キャリ登録→レベルUPをコツコツすることでW10の点数UPが狙えると思います。
計算式の分子に注目してみてください。
これはまだ少し先の話になるかもしれませんが、審査基準日以前3年のうちに、建設技能者能力評価制度の評価区分が1レベル以上UPした技能者の数を記入します。
これもまだちょっと先の話になります。
技能者のうち、審査基準日以前3年のうちに、建設技能者能力評価制度の最上位区分(レベル4)に評価されている者の数を記入します。
レベル判定システムではレベル4が最高位であるため、審査対象から除きます。
令和3年度より2級技術検定の第1次検定の合格者を『2級技士補』、1級技術検定の第1次検定合格者を『1級技士補』とし、国家資格として扱われることになりました。
2級技士補は『技術力(Z)』の技術職員数では加点されませんが、CPD単位の取得数に応じた『社会性(W)』では、2級技士補が取得したCPD単位も加点対象になります。
1級第1次検定に合格した1級技士補は、一定の実務経験があるため、監理技術者補佐として現場に配置が可能となり、また経審の「技術力(Z)」の技術職員数の評価項目でも1人当たり4点の加点となります。
以上を踏まえて
W10=(技術者数/技術者数+技能者数×CPD単位取得数/技術者数)+(技能者数/技術者数+技能者数×技能レベル向上者数/技能者数-控除対象者数)
となります。
∴社会性の評点は
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)×10×190/200
で算出されます。
他にもこんな変更点が
法定外労災において、現行で『全日本火災共済協同組合連合会』とされているものが『中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者』に改正されました。
従って、建設業者の加入実績のある『中小企業福祉共済協同組合連合会(中済連)』の共済事業も評価の対象となりました。
建設業経理に関する状況の審査項目に該当する『公認会計士・会計士補及び税理士並びに登録経理試験合格者』について、指定の講習受講が加点要件となりました。
ただし令和5年3月31日までは、講習受講免除の経過措置が設けられるということです。
電子申請
令和5年1月から、経審の電子申請が開始されます。
しかし全国一斉...ではなく、まずは国土交通省管轄の大臣許可業者様から、という形でのスタートとなりそうです。
建設業許可申請についても同様で、まずは大臣許可業者様から順次電子申請に移行というスタイル。
都道府県知事許可業者様につきましては、システムの準備が万全に整ってから、ということで、各都道府県がそれぞれのタイミングでスタートすることになりそうです。
千葉県では既に電子申請が導入されているようですが...。