取引には細心の注意を払うようにしてくださいね。

行政書士 神尾智子 事務所

現在の閲覧者数:

盗品売買防止のために

古物営業法第1条には、目的が謳われております。

 

この法律は、盗品等の売買の防止・速やかな発見を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

 

古物の取引には、窃盗の被害品が混在する恐れがあります。
そこでそれを防止するため、また早期発見により被害を迅速に回復することを目的としております。

 

一度人の手に渡った物品を買い取り再び売り渡す、という行為をなす場合、古物商の許可が必要になります。

 

古物を買い取り、かつ売却(レンタルを含む)・交換・委託売買により手数料を徴収することは、原則として古物営業に該当します。

 

これらの売買をインターネット等で行う場合も含みます。

 

古物を買い取らずに、古物の売却(レンタルを含む)をする場合は、古物営業に該当しません。

 

古物を買い取らずに、無償または対価を受けて引き取り、それを売却する場合も古物営業には該当しません。
また、買い取りをしていない古物を、売却した相手から買い戻す場合も古物営業には該当しません。

 

無償又は引取料という形で対価を受けて引き取った物を、修理や再生して販売する場合も古物営業には該当しません。

 

買い取りを行い、その後売却する場合に古物商の許可を取得する必要があります。

 

書類の作成自体は、そんなに煩雑ではありませんが、何しろ罰則が多い!

 

それだけ古物の取引は盗品売買という犯罪に結びつきやすいのでしょう。

 

古物商の対象となる品目は全部で13種類ございますが、特に自動車と骨董品(美術品)については、目利きのできる方を配置することが重要視されております。

 

というか、配置しなければなりません。
全く知識のない場合、講習会に参加する等、一定のレベルに到達できるようにスキルアップは必要不可決となります。

 

申請の際、何故この業務を展開しようと思ったのかとか、盗品売買防止のためにどのような措置を取るのかなど、詳細を問われます。

 

きちんと説明できるようにしておいてくださいね。

取り扱う古物の区分

申請書で選択する古物の区分は13あり、下記の中から選択します。

 

美術品類

絵画・書・彫刻・工芸品・登録火縄銃・登録日本刀・酒ボトル 等

衣類

和服・洋服・敷物・テーブル掛け・その他の衣料品・布団・帽子 等

時計・宝飾品類

時計・宝飾品・貴金属類・眼鏡・装身具類 等

自動車

自動車本体及び、その部品

自動二輪車および原動機付自転車

自動二輪車・原動機付自転車及びその部品

自転車類

自転車及びその部品

写真機類

カメラ・ビデオカメラ・光学機器・望遠鏡・双眼鏡・顕微鏡 等

事務機器類

タイプライター・中古ビジネスフォン・レジスター・計算機・コピー機・ワードプロセッサ・ファクシミリ装置・シュレッダー 等

機械工具類

電機類(電気製品)・家庭用ゲーム機・工作機械・医療機器類・土木機械・化学機械・工具 等

道具類

家具・什器・運動用具・楽器・磁気記録媒体・蓄音機用レコード・CD・DVD・玩具類・ゲームソフト 等

皮革・ゴム製品類

鞄・靴・毛皮・レザーやビニールなどの化学製品 等

書籍

コミック・文庫本・雑誌 等

金券類

商品券・ビール券・航空券・乗車券・回数券・切手・収入印紙 等

申請に必要なもの

法人の場合
古物商・古物市場主許可申請書
定款(謄本)の写し
登記事項証明書
役員全員の最近5年間の略歴を記載した書面
役員全員の住民票の写し
古物営業法第4条第1号から第8号までに掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面
市町村(特別区を含む。)長の証明書(準禁治産者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨を証明するもの)
選任する管理者にかかる上記4、5、8の書類(管理者が役員以外の場合)
選任する管理者が古物営業法第13条第2項各号に掲げる者にいずれも該当しないことを誓約する書面
URLの使用権限を疎明する資料(HPを利用し、取引する場合)

 

個人の場合
古物商・古物市場主許可申請書
最近5年間の略歴を記載した書面
住民票の写し(本籍が記載されたもの。外国人にあっては国籍等が記載されたもの)
古物営業法第4条第1号から第9号までに掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面
市町村(特別区を含む。)長の証明書(準禁治産者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨を証明するもの)
選任する管理者にかかる上記4、5、8の書類(管理者が事業主本人でない場合)
選任する管理者が古物営業法第13条第2項各号に掲げる者にいずれも該当しないことを誓約する書面
URLの使用権限を疎明する資料(HPを利用し、取引する場合)

 

その他

手数料(県証紙代)19,000円が必要です。

 

営業所の登記簿謄本
プレハブなどで建物の登記がない場合は、土地の登記簿謄本と公共料金の領収証の写しなどを添付し、営業所の実態があることを証明します。

 

営業所が自己所有でない場合、賃貸借契約書の写しを添付します。

 

公安委員会が必要と認める場合、理由書等の提出を求めることがあります。

 

許可or不許可を決定するまでの標準処理期間は40日となっております。

古物営業法の改正

平成30年10月24日から段階を経てスタートしております。

 

既に、令和2年3月31日までに主たる営業所等届出書の未提出業者様については、新たに許可申請をしていただかなければならない。ということになっております。

 

要するに未提出業者様は許可切れの状態です。

 

未提出であるにも関わらず、現在古物商を営業しているのであれば非常にマズイ状態です。

 

何が変わったの?

古物営業法の改正ポイントについては、下記の通りです。

 

主たる営業所等の届出書

令和2年3月31日までは、独立した様式でしたが、現在は新様式の第1号その2に組み込まれております。

 

営業所を複数持つ場合、そのうちの1ヶ所を主たる営業所と定めなければなりません。

仮設店舗の届出

改正前は、買取場所については、営業所若しくは取引相手の住所・居所とされておりましたが、改正後は届出をすることで仮設店舗での取引が可能となりました。

簡易取消の新設

改正前は、古物商が3ヶ月以上所在不明であること・さらに不明であることを公安委員会が立証し、聴聞を実施しなければ許可の取り消しができませんでした。

 

しかし改正後は、古物商の所在が確認できない+公安委員会が官報に公告し、30日以上経過しても申出がなければ許可を取り消すことができるようになりました。

欠格事由の追加

改正前の欠格事由については下記の通りでした。

 

@ 成年被後見人・被保佐人又は破産者で復権を得ない者
A 禁固以上の刑や古物営業法違反・背任・遺失物・占有離脱物横領・盗品等有償譲受等の罪で罰金に処せられ、刑の執行後または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
A-a 罪種を問わず、禁固以上の刑
A-b 背任・遺失物占有離脱物横領・盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑
B 住所の定まらない者
C 営業について成年者と同一の能力を有しない未成年者

 

改正後は以下の事項が追加されます。

 

D 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

 

要するに、暴力団組織と暴力団以外の犯罪組織 です。
既に許可を受けている場合であっても許可が取り消しとなります。

 

暴力団組織について

暴力団員または暴力団でなくなった日から5年を経過しない者
暴力団員による不当な行為に関する法律により、公安委員会から『命令又は指示』を受けて3年を経過していない者
も含まれます。

 

暴力団以外の犯罪組織について

集団で暴力的な不法行為をする恐れがある者
暴力的不法行為を常習で行う可能性がある者
となっておりますが
申請日から遡り、過去10年間に暴力的不法行為を行ったことがある者は上記に該当する可能性があります。
覆水盆に返らず?

非対面取引における本人確認方法の追加

本人確認の方法については下記のような例がございます。
@ 相手方から電子署名を行ったメールの送信を受けること。
A 相手方から地方公共団体情報システム機構が発行した電子証明書と電子署名を行った住所・氏名・職業及び年齢にかかる電磁的記録の提供を受けること。
B 相手方から特定認証業務を行う署名検証者が発行した電子証明書と電子署名を行った住所・氏名・職業及び年齢にかかる電磁的記録の提供を受けること。
C 相手方から印鑑証明書及び登録された印鑑を押印した書面の送付を受けること。
併せて相手方からその住所・氏名・職業・及び年齢の申出を受けなければならない。

(品物を相手方に送る時に同梱して上記書面を返送していただく)等
方法は他にも数パターンございますが、ここでは割愛させていただきます。

 

本人確認を怠った場合、罰則がございます。
許可の取り消し
営業停止命令
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 等

帳簿の様式

中古自動車に関する帳簿に、自動車の特徴をより詳細に記入することとなりました。
これまでは明文化されていなかった部分ですね。

 

具体的には、自動車登録番号又は車両番号・車名・車台番号・所有者の氏名名称を記入します。

 

その他、古物の受入に関する項目も詳細を記入することになりました。
取引年月日・区分・品目及び数量・その物品の特徴・取引相手の情報・本人確認の方法 等です。

 

更に、払い出しについても記入しなければなりません。
取引年月日・区分・取引相手の情報 等です。

 

古物台帳を作成しなかったり、虚偽の記録をした場合、罰則がございます。
また、取引記録は3年間の保存が義務付けられております。

 

罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金、若しくはその両方となっております。
ホントに罰則多いな〜と思いますが、それだけ犯罪に結びつきやすい業種なので、営業には細心の注意を払って頂きたいと思います。

古物商許可手続き単位の見直し

改正後は、主たる営業所の所在地を管轄している公安委員会の許可を受けていれば他の都道府県に営業所を設置しようとする場合、許可ではなく届出で済みます。

番外:金属くず商

自動車などの部品を売買する場合、そのままの形状を保ったまま使用目的にも変化がない場合は、古物商の許可で足ります。

 

しかし、その部品が取引後に形状・使用目的も変わってしまう場合、所謂『資源』として再利用する場合は、古物商の許可にプラスして金属くず商の許可が必要な道府県がございます。

 

北海道・茨城県・静岡県・長野県・福井県・岐阜県・滋賀県・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県

 

上記以外の都県では、金属くずの取引をする場合でも古物商の許可だけで足ります。

 

ちなみに、この申請書は

 

金属くず商許可申請書
金属くず行商届出書

 

がございます。

 

許可 は、その都道府県に営業所を設けて金属くず商を営む場合
届出 は、営業所は設けないが、その都道府県内で金属くず商を展開する場合

 

に提出します。

 

こちらも、盗品の売買が起こりやすいとされているので、罰則が多いです。

 

罰則や改正点については、各公安委員会のホームページに掲載されておりますのでご確認ください。

 

添付書類については、古物商とほぼ同じです。(多少違います。)

当事務所では

申請書作成・提出代行まで承っております。

 

しかし、提出の際には申請者様の同行を求められることが多いです。

 

許可証交付の際も、場合によっては『申請者様と一緒にお越しください。』と言われることもございます。

 

それだけ、公安委員会も神経を使っているということでしょうか。

 

許可を取得して、営業を始めた後は盗品売買回避のための、目利き鍛錬は必須です。

 

講習会などがあったら、積極的に参加してくださいね。

☆ Last Update :
トップへ戻る