公共工事を直接請負いたい建設許可業者様が受けなければならない審査です。

行政書士 神尾智子 事務所

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このページは長〜いです。お時間のある時にお読みください。

建設業許可業者が、公共工事を直接請負うために必ず受けなければならない審査、これを経営事項審査と言います。

 

公共工事の発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うのですが、建設業者の施工能力や経営状況などを客観的に評価する審査が『経営事項審査』です。

 

この『経営事項審査』においての審査項目は下記の通りです。

 

経営規模(X)

工事種類別完成工事高(X1)
自己資本額(X2)
利益額(X2)

経営状況分析で評価されるY点
技術力(Z)

工事種類別技術者数(Z1)
工事種類別元請完成工事高(Z2)

その他の評価項目(社会性)(W)

労働福祉の状況(W1)
建設業の営業継続の状況(W2)
防災活動への貢献の状況(W3)
法令遵守の状況(W4)
建設業の経理に関する状況(W5)
研究開発の状況(W6)
建設機械の保有状況(W7)
国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)
若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W9)

総合評定値(P)

上記を踏まえて、総合評定値が算出されます。

 

※令和3年以降の変更点についてはこちらでご確認ください。

 

※令和5年以降の変更点についてはこちらでご確認ください。

 

総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.2+0.25Z+0.15W

 

最高点(理論値) 2,157
最低点(理論値)  -18

 

ちなみに最高点・最低点ともお目にかかったことはございません。
4ケタは珍しくありませんが、2000点台ってすごいですね。

 

ちなみに、この業務についても当事務所では長〜い歴史アリです。
用紙がB4の時代から手掛けております。

 

そして、現在のように会場の雰囲気はピリピリしておりませんでした。
終始和やかな雰囲気で審査が行われていました。

 

私には7年のブランクがあったため、復帰後再び会場を訪れ、様変わりした経審を目の当たりにした時には『浦島太郎』になった気分でしたね。

 

審査に関しては年々厳しくなる一方で、変更が加わるたびに持参する書類が増えてる気がしますが...。気のせい?

経営規模(X)

工事種類別年間平均完成工事高の評点(X1)

最高点 2,309 最低点 397 ウエイト 0.25

 

評点としてのウエイトは高いです。

 

審査の対象となる業種ごとに年間平均完成工事高(2年平均or3年平均)が42に分けられた区分のどこに該当するかにより、評点を求めます。

 

許可を受けた建設業に係る建設工事の種類別年間平均完工高が1,000億円以上の場合は、計算するまでもなくそれだけで2,309点(最高点)です。

 

以下、区分ごとに計算式がございますので、それに沿って評点を算出します。

特例計算

許可を受けている業種については、次表の区分に従って「完成工事高」及び「元請完成工事高」を振替えることができます。これを「特例計算」と呼びます。

 

なお、特例計算を行うためには、振替元、振替先双方の業種について建設業の許可を有していることが必要です。

 

また、振替元の業種については審査対象業種として申請できません。

 

また、前回の経営事項審査で特例計算を行った場合、前審査対象事業年度又は前々審査対象事業年度については、前回の経営事項審査に対して振替えの選択を変更することはできません。
(手引き参照のこと)

一式工事 土木一式 とび・土工、石、鋼構造物、舗装、しゆんせつ、塗装、水道施設、解体
一式工事 建築一式

大工、左官、とび・土工、石、屋根、タイル・れんが・ブロツク、鋼構造物、鉄筋、
板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体

専門工事 とび・土工 石、舗装、造園、さく井、解体
専門工事 熱絶縁
専門工事 板金 屋根

矢印の方向に向かって振替えができます。

 

これまでは、とび・土工工事業を土木工事に振り替えるのが王道でしたが、最近「とび・土工」単体での発注が増加しつつあるそうです。

 

そうなると、とび・土工を残しつつ、土木工事の施工実績ゼロを避ける方法を考えなければならないため、これは頭の痛い問題であります。

自己資本額及び平均利益額に係る評点(X2)

最高点 2,280 最低点 454 ウエイト 0.15

 

★自己資本額の評点(X21)及び平均利益額の評点(X22)の合計点数を2で割ることで(小数点以下切り捨て)算出します。

 

自己資本額の評点(X21)

自己資本額(純資産合計額)又は平均自己資本額(2期平均)が47に分けられた区分のどこに該当するかにより、評点を求めます。

 

自己資本又は平均自己資本額が3,000億円以上の場合は、計算するまでもなく、それだけで2,114点(最高点)です。

 

以下、区分ごとに計算式がございますので、それに沿って算出します。

 

自己資本の額が0に満たない場合は、0とします。

 

平均利益額の評点(X22)

利払前税引前償却前利益(営業利益+減価償却実施額)の2年平均の額が37に分けられた区分のどこの該当するかにより、評点を求めます。

 

平均利益額が300億円以上の場合は、それだけで2,447点(最高点)です。

 

以下、区分ごとに計算式がございますので、それに沿って算出します。

 

ただし、利払前税引前償却前利益の平均額が0に満たない場合は、0と見做します。

 

★X2=(X21+X22)÷2

 

なので、仮に両方最高点だとすると、
2,114+2,447÷2=2280.5となります。

 

小数点以下切り捨てなので、2280点でハイ、BINGO。

経営状況(Y)

経営状況については、経営状況分析の結果通知書の数値により、判定します。

 

経営状況分析申請書

 

最高点 1,595 最低点 0 ウエイト 0.2

 

工事種類別完成工事高(X1)・技術力(Z)の0.25に次いで高いウエイトとなっております。

技術力(Z)

最高点 2,441 最低点 456 ウエイト 0.25

 

経営規模(X1)と同等のウエイトとなっております。

 

高い比率です。

 

技術力(Z)は、審査の対象となる業種ごとに
技術職員の数の点数(Z1)に4/5を掛けたものと
年間平均元請完成工事高(2年平均or3年平均の完工高)の点数(Z2)に1/5を掛けたものの合計

を評点とします。

 

Z=Z1×0.8+Z2×0.2

種類別技術職員数の評点(Z1)

審査の対象となる業種ごとに技術職員数値を下記の算式により求めます。

 

技術職員数値=1級監理受講者数×6+1級技術者数×5+監理技術者補佐数×4+基幹技能者数×3+2級技術者数×2+その他の技術者数×1

 

小数点以下は切り捨てです。

 

★1級監理受講者:1級技術者であり、且つ直前5年以内に講習を受講し、監理技術者資格者証の交付を受けている者

 

令和3年1月1日より、監理技術者の有効期間のカウントについて「登録を受けた講習を受講した日の属する年の翌年から起算して5年を経過しない者でなければならない」と改訂されました。

 

★基幹技能者:登録基幹技能者講習を修了した者

 

★技術職員として申請できるのは、技術者1名につき2業種まで

 

技術職員としてカウントされるためには、審査基準日から遡って6ヶ月と1日以上在籍していなければなりません。

 

その他、法人及び社保に加入義務のある個人事業者のもとで建設業に従事する技術者について、社会保険・厚生年金・雇用保険に加入していること。
適用除外の個人事業の技術者については、雇用保険に加入していること。
(専従者のみの場合はすべて適用除外です。)

 

等、他にも条件がございます。

 

気が向いたらUPしようかと考えておりますが、
不明な点については、お問合せください。

 

兎にも角にも、常勤性重視です。

 

技術職員数値が15,500以上ある場合、2,335点の最高点となります。

 

区分は全部で30あり、各区分ごとに計算式があるので、それに沿って評点を算出します。

 

余談ですが、1業種で15,500ってスゴイ数字ですね。

 

技術職員数を数える時にどうするのか、謎です。

 

仮に全員が6点配点の1級監理受講者だとしても...。

 

気が遠くなりますね。

 

事前審査で当たったら失神するでしょうね。

 

種類別元請完成工事高の評点(Z2)

審査対象業種ごとに、年間平均元請完成工事高(2年平均or3年平均)を42の区分のどれに該当するかにより求めます。

 

1業種ごとの計算となります。

 

経営事項審査では、少額だとしても元請工事を重視します。

 

種類別年間平均元請完工高が1,000億円以上の場合、2,865点の最高点となります。

 

小数点以下は切り捨てです。

 

Z1・Z2が共に最高点の場合、

 

2,335(Z1)×0.8+2,865(Z2)×0.2=2,441となりますね。

その他の評価項目(社会性)(W) W1〜W4

最高点 2,061 最低点 −1,995 ウエイト 0.15

 

このページが見えてくるとホッとします。事前審査ももうすぐ終わる〜ということで。

 

社会性で審査される項目は、下記の通りです。

労働福祉の状況の評点(W1)
建設業の営業継続の状況の評点(W2)
防災協定締結の評点(W3)
法令遵守の状況の評点(W4)
建設業の経理の状況の評点(W5)
研究開発の状況の評点(W6)
建設機械の保有状況の評点(W7)
ISOの登録の状況の評点(W8)
若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況の評点(W9)

 

★W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×190/200

労働福祉の状況の評点(W1)

W1=Y1×15−Y2×40

 

Y1:加点項目
Y2:減点項目

 

健康保険・厚生年金・雇用保険・退職一時金制度・法定外労災補償制度の加入の有無を問う項目です。

 

Y1に該当するもの

 

建設業退職金共済制度加入の有無

建退共は、加入しているだけでは加点の対象になりません。

 

決算期内に77,500円以上の証紙下請交付額があることで、加入・履行証明書を発行していただけます。

 

上記の金額に満たなくても発行していただけることがたま〜にあるらしいので、経審受審の際には、ダメ元で掛け合ってみてください。

 

退職一時金制度若しくは、企業年金制度導入の有無

建退共が日掛なのに対して、中退共・特退共は月掛です。

 

同じ人に建退共とその他の退職金(中小企業退職金共済(中退共)・清酒製造業退職金共済(清退共)・ 林業退職金共済(林退共)を併行して掛けることはできません。
(建退共側がNGを出しています。)

 

Aさんは建退共・Bさんは中退共という具合に分けていただければ問題ナシです。

 

(事務に関する従業員様については、建退共には加入できません。)

 

法定外労働災害補償制度加入の有無

通常の労災に+αで加入するものです。こちらも加点の対象にするには条件がございます。

 

@ 業務・通勤の両方の災害が対象となっていること
A 死亡及び労働災害補償保険の傷害等級が1〜7級まで補償されていること
B 職員及び下請負人全てを補償の対象としていること
C 施工するすべての工事(JV及び海外工事は除く)を補償していること

 

法定外労災で提示する書類は、上記の内容を謳ってあるものが対象となります。

 

保険会社によって若干の相違があります。
(証書に謳ってあれば証書・加入証明書・付保証明書 等)

 

1つ加入するごとに15点の加点となります。

 

Y2に該当するもの

 

雇用保険加入の有無
健康保険加入の有無
厚生年金保険加入の有無

 

こちらは、適用除外業者以外は未加入1つにつき40点の減点です。

建設業の営業継続の状況の評点(W2)

営業年数(許可を受けた年月日からカウント)(W21)及び民事再生法又は会社更生法の適用の有無(W22)により評点を求めます。

 

営業年数は35年以上あれば60点(最高点)です。

 

そこから営業年数が減少するにつれ、点数も減少していきます。

 

5年以下の場合は0点です。

 

民事再生法又は会社更生法の適用有の場合、−60点となります。

 

W2=W21+W22

防災協定締結の評点(W3)

防災協定については、申請者が国・特殊法人または地方公共団体と直接締結している場合、審査基準日において締結が確認できる協定書の写しを提示します。
(直接防災協定を締結しているパターンをお見掛けすることは滅多にないです。)

 

申請者が加入している社団法人等が国・地方公共団体等と締結している場合は審査基準日において、当該法人に加入していることを証明できる書類及び、当該法人の防災協定書の写しを提示します。
(こちらに関してはよくお見掛け致します。)

 

加入していることを証明する書類を毎年発行していただく場合、証明日付にご留意ください。

 

協定締結有の場合、20点の加点となります。

法令遵守の状況の評点(W4)

建設業法第28条の規定により指示された場合 
−15点となります。

 

営業の全部若しくは一部の営業の停止を命ぜられた場合 
−30点となります。

 

上記に該当しない場合は0点です。

その他の評価項目(社会性)(W) W5〜W10

建設業の経理の状況の評点(W5)

監査の受審状況の評点(W51)

★会計監査人の設置有の場合、20点の加点です。
登記簿謄本の写しを提示することで確認します。

 

★会計参与の設置有の場合、10点の加点です。
こちらも、登記簿謄本の写しを提示することで確認します。

 

★経理処理の適性を確認した旨の書類を提出すると、2点の加点です。

 

提出するだけで2点か...。と邪な心理が働いたりしますが
この書類を提出すると、もれなく調査が入るそうです。

 

本当に確認を実施している場合のみ、提出するようにしてください。

 

公認会計士等の数値の評点(W52)

 

次の算式により、公認会計士等数値を算出、年間平均完成工事高との兼ね合いで評点を求めます。

 

公認会計士等数値=公認会計士等の数(登録経理試験1級合格者を含む)×1+登録経理試験2級合格者の数×0.4

 

年間平均完成工事高が600億円以上で公認会計士等数値が13.6以上の場合、評点は10点(最高点)となります。

 

評点は0〜10点で2点ずつ区切られており、最低点は0点です。

 

登録経理試験合格者については、
技術職員のように在籍期間の規定はございませんが、健康保険・厚生年金・雇用保険に加入していないとカウントできません(加入義務有の場合)。

 

W5=W51+W52

 

2つの合計の最高点は30点、最低点は0点です。

 

研究開発の状況の評点(W6)

 

研究開発費の額の平均額を26の区分のどこに当てはまるかで求めます。

 

ただし、会計監査人設置会社であることが条件です。

 

他、財務諸表が一般に公正と認められる企業会計の基準に従って処理されていること、尚且つ会計監査人が当該会社の財務諸表に対して、無限定適正意見または限定付き適正意見を表明していることを要します。

 

平均研究開発費の額が100億円以上の場合、25点(最高点)です。

 

5,000万円未満の場合、0点(最低点)です。

 

研究開発に100億円かぁ...。

建設機械の保有状況の評点(W7)

自己所有又はリースで(審査基準日から1年7ヶ月以上先までリース契約を締結していること)建設機械を保有している場合に加点となります。

 

この項目、昔はなかったなぁ...。

 

ここでいう建設機械とは、災害時に活躍が期待できるもの、とされております。

 

ショベル系掘削機 
ショベル,バックホウ,ドラグライン,クラムシェル,クレーン又はパイルドライバーのアタッチメントを有する旨を記載してあるもの

 

ブルドーザー
自重3t以上のもの

 

トラクターショベル
パケット容量が0.4立米以上のもの

 

モーターグレーダー
自重5t以上のもの

 

大型自動車(大型ダンプ車)
車両総重量8t以上または最大積載量5t以上で、経営する事業の種類として建設業を届け出ていること、表示番号の指定を受けていること。
平成30年4月以降は、自家用だけでなく、営業用の大型ダンプも評価の対象に加わりました。

 

移動式クレーン
つり上げ荷重3t以上のもの

 

提示書類

 

売買契約書・販売証明書(自己所有)・リース契約書(リース物件)
特定自主検査記録表・カタログ(保有1年未満の場合)車検証・移動式クレーン検査表

 

15台以上保有で15点(最高点) 0台で0点(最低点)となります。

ISOの登録の状況の評点(W8)

審査基準日においてISO9001・ISO14001の登録が両方ある場合は10点(最高点)
どちらか片方だけなら、5点
共にない場合は0点となります。

 

登録証の写しを提示することで登録の有無を確認します。

若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況の評点(W9)

技術職員のうち、審査基準日において満35歳未満の技術職員人数が総技術職員の人数の15%以上である場合に1点加点されます。

 

技術職員のうち、新規掲載者に○が付され、且つ審査基準日において満35歳未満の技術職員人数が総技術職員の人数の1%以上である場合に1点加点されます。

 

両方に該当の場合、2点です。

 

若年の技術者であることの確認は、生年月日が記載されている書類を提示します。

 

この項目も昔はなかったなぁ...。

 

令和3年度より、W10が新設されました。

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)

これまで、雇用保険の納入通知書及び領収証、健康保険及び厚生年金の領収証は原本提示でしたが、令和3年度からは写しで可となりました。

 

政府労災の申告書及び領収証は写しで可、法定外労災については、これまで通り原本提示となります。

 

ただ、写しで可の書類は原本提示でも問題ナシなので、今まで通りでも良いのかもしれません。

建設系CPDプログラム

年明けから、社会性の様式の最下段に新しい項目が加わっていることに気付いた方も多いと思います。

 

令和3年度からCPD(Continuing Professional Development)取得単位数が加点の対象となります。

 

多様化するニーズに応えるためには、実務における知識や技術を常にバージョンアップしていく必要がある、ということで、建設業に携わる技術者様に対して幅広い継続教育プログラムが提供されることとなりました。

 

この制度自体は、2005年から始まっております。

 

詳細はこちらをどうぞ。

 

取得単位を個別に記入する欄が技術職員名簿に加わります。1人当たり30ポイントが上限です。

 

CPD単位を取得した技術者名簿

技術職員名簿に記載されない、CPD単位を取得した者(主任技術者の要件にならない1級技士補、2級技士補、及び経審に関係のない業種についての有資格者等)の氏名を記載します。

 

加点の対象は、審査基準日以前1年間のCPD取得単位です。

 

技術職員名簿に記載されている方もされていない方も、CPDの単位数を証する書面の写しの提示が必要です。

 

技術者数・技能者数

これまでは技術職員は、有資格者(10年以上の実務経験者を含む)でしたが、令和3年度からは細かく分かれることになります。

 

技術者とは、監理技術者・主任技術者・経審の受審業種ではない業種の有資格者・1級技士補および2級技士補のことを指します。

 

技能者とは、審査基準日前の3年間に建設工事の施工に従事した者で、作業員名簿に氏名が記載される者を指します。

 

技術職員とは、監理技術者、主任技術者、主任技術者+1級技士補、建設キャリアアップシステム登録者でレベル4・3認定者、を指します。

 

ちょっとややこしいですが、そのような区分に分かれます。

 

技術職員名簿の記載人数+CPD単位を取得した技術者名簿の記載人数= 技術者数(Z1)

 

技能者については、新たに技能者名簿という書式が加わります。

 

技能者(Z2)名簿
技能者の対象となる方は以下の通りです。

 

@ 実務経験 3 年以上 10 年未満で施工体制台帳に記載があり、使用人数の「その他の技術関係使用人」に該当する者。

 

A 技術職員名簿に記載されている者(施工管理のみの者を除く)

 

技能者として評価の対象になる方は以下の通りです。

 

B建設キャリアアップシステムの技能者カードを保有していること。

 

Cレベル判定にて、審査基準日の 3 年以上前よりもレベルアップしていること。

 

@BCまたはABCに該当する方が評価の対象となります。

 

@の場合の例
建設業界Welcomeで入社時にカード発行

技能講習を最低1つ受講

勤続3年でレベル1から2へUP。

 

審査基準日が令和2年12月31日と仮定した場合、平成29年12月31日におけるレベルよりも1以上UPしている必要があります。

 

しかし、システム導入は平成31年4月1日からなので、開始日からカードを保有していたとしても3年にはなりません。

 

ただ、レベル判定は年月を遡って申請することが可能です。

 

起算点については、建設キャリアアップシステムに登録されている建設関係の最も古い資格の取得年月とされています。(技能講習手帳等に記載があるはずです。)

 

従って、カード発行を平成31年4月と仮定した場合、審査基準日の令和2年12月の間にこちらで挙げているレベルUPの基準をクリアし、レベル判定を受けていれば評価対象となります。

 

...と言ってもちょっとややこしいので、ご不明な点は、お気軽にお問合せください。

 

Aのみの場合、技能者名簿には記載不要(静岡県では人数のみ記載)
*令和3年度は様子見で、このような措置になったようです。

 

そうなると、来年度からは変わる可能性が大きいですね。

 

「名簿」の名の通り、全員の氏名を記載することになるかもしれません。

 

レベル2→3、レベル3→4にUPした場合も勿論加点対象になりますが、急にレベル判定条件のハードルが上がるので、これ如何に。

 

点数が下がる!?

蛇足ですが、様式5号に技能者を沢山記載してしまうと、点数が下がるという現象が起きる場合がございます。

 

計算してみました

レベル向上者数及びCPD単位取得者数がポイントになるようです。

 

技術職員の点数にはプラスの影響はありませんが、技術職員さんも建キャリ登録→レベルUPをコツコツすることでW10の点数UPが狙えると思います。

 

計算式の分子に注目してみてください。

 

技能レベル向上者数(Z4)

これはまだ少し先の話になるかもしれませんが、審査基準日以前3年のうちに、建設技能者能力評価制度の評価区分が1レベル以上UPした技能者の数を記入します。

 

控除対象者数(Z5)

これもまだちょっと先の話になります。

 

技能者のうち、審査基準日以前3年のうちに、建設技能者能力評価制度の最上位区分(レベル4)に評価されている者の数を記入します。

 

レベル判定システムではレベル4が最高位であるため、審査対象から除きます。

技士補

令和3年度より2級技術検定の第1次検定の合格者を『2級技士補』、1級技術検定の第1次検定合格者を『1級技士補』とし、国家資格として扱われることになりました。

 

2級技士補は『技術力(Z)』の技術職員数では加点されませんが、CPD単位の取得数に応じた『社会性(W)』では、2級技士補が取得したCPD単位も加点対象になります。

 

1級第1次検定に合格した1級技士補は、一定の実務経験があるため、監理技術者補佐として現場に配置が可能となり、また経審の「技術力(Z)」の技術職員数の評価項目でも1人当たり4点の加点となります。

 

以上を踏まえて

 

W10=(技術者数/技術者数+技能者数×CPD単位取得数/技術者数)+(技能者数/技術者数+技能者数×技能レベル向上者数/技能者数-控除対象者数)

 

となります。

 

∴社会性の評点は

 

W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)×10×190/200

 

で算出されます。

提出書類及び提示書類

静岡県の場合は下記の通りです。

事前審査で提示する書類

@ 経営規模等評価申請書〜審査手数料貼付書までの書類1式(正副1部ずつ)
A 経営状況分析結果通知書
B 建設業許可申請書・変更届出書 等
C 前回の経審の控えの書類
D 確定申告書(法人税・消費税・個人の所得税)
E 消費税納税証明書(その1)審査基準日の決算期のもの(新規受審の場合は前期分と2期分) 免税業者も必要です。
F 雇用保険及び社会保険の加入が確認できるもの
G 職員名簿
H 源泉徴収簿または賃金台帳(令和3年度より不要となります。)
  (審査基準日を含むもの。源泉徴収簿及び賃金台帳は1〜12月の1年単位の記載となるため、法人の場合は2年分必要になることが殆どです。)
I 技術職員名簿に記載された技術者の資格を証明する書類の写し
  (令和3年度からは、前年と同じ場合はその資格に関しては不要となります。監理技術者証はこれまで通り必要です。)
J 保有する建設機械の売買契約書・譲渡証明書・特定自主検査記録表・車検証(該当する場合のみ)・リース契約書・保有1年未満のものについては、当該建設機械のカタログ等。

令和5年より、以下についても評価の対象となりました。

ダンプ(土砂の運搬が可能な全てのダンプ)

高所作業車

締固め用機械

解体用機械

K ISOの登録証の写し・(令和5年より)エコアクション21の認証・登録証を提出(該当する場合)
L 会計監査・参与・適正確認に該当する場合の確認書類
M レベル判定結果通知書(該当する場合)こちら
N 技能者名簿
O CPD単位を取得した技術者名簿(該当する場合)
P CPD取得単位数が確認できる書面(写)
N〜Pは令和3年度より新設されます。W10の新設

 

本審査で提示・提出する書類

@ 経営規模等評価申請書〜審査手数料貼付書までの書類1式
  (問題がなければ受付印を押印され、副本が手元に残ります。)
A 経営状況分析結果通知書(1部提出、1部申請者に返却)
B 建設業許可申請書・変更届出書 等
C 前回の経審の控えの書類
D 確定申告書(法人税・消費税・個人の所得税)
E 総勘定元帳
F 消費税納税証明書(未納の有無のチェック)
*現在、コロナ禍で経審の日までに納付が間に合わない事例がございますが、ここで未納証明だった場合でも、入札参加資格申請時に納付額が記載されている証明が出れば問題ありません。
G 工事経歴書に記載した工事請負契約書・注文書、注文請書・請求書+総勘定元帳等
H レベル判定結果通知書(該当する場合)こちら
I 技能者名簿
J CPD単位を取得した技術者名簿(該当する場合)
K CPD取得単位数が確認できる書面(写)

すべて審査基準日時点での状況を審査します。

 

審査基準日当日にどのような状態だったか、です。

 

ただし、業種追加や特定成は審査の日までに許可証が交付されていれば、その業種を審査基準日に含めて申請することができます。

大臣許可の場合

都道府県知事許可とは多少の相違点がございます。

 

* 手数料は収入印紙となります。

 

* 一式工事と専門工事の業種間の振替えを行う場合、工事種類別完成工事高付表という様式がございますので、そちらに記載します。

 

* 各管轄地方整備局に必要書類一式を直接郵送しての受審となります。

 

審査会場で提示する書類については写しを同封します。(場合によってはスゴイ量になりそうですが...。)

白色申告と経営事項審査

個人の白色申告の場合、法人や個人の青色申告での決算で作成する貸借対照表が存在しません。

 

青色申告でもココを作成しない方がいらっしゃいますが、経審受審業者様においては省略するわけにはいかない部分です。

 

通常、経審を受審する際には様々な条件をクリアしなければいけません。
技術者としてカウントされるためには、加入できない特段の事情がない限り健康保険・厚生年金・雇用保険に加入していなければなりません。

 

その為には、時給に換算した時に最低賃金以上になる月額基本給であることが必要となります。

 

従って、ある程度の人件費・法定福利費の支出は避けることができません。
評点アップのためにはどうにかして捻出するしかないのです。

 

ところが白色申告の場合、専従者には賃金を支払う必要がありません。
というか、支払いできません。

 

白色申告の場合、専従者給与ではなく専従者控除なので、仮に賃金を支払っていたとしても経費に算入できないのです。

 

そして、この専従者が技術者としての条件を満たしていた場合(資格を保有or実務経験で技術者要件をクリア)、賃金を支払っていないにも関わらず、技術者としてカウントすることが可能となります。

 

法人や個人の青色申告事業者様の中には、厳しい中で人件費・法定福利費を捻出していらしゃる業者様も少なくありません。

 

しかし個人の白色申告の場合、人件費等を捻出していなくてもその部分については不問になってしまうという不公平な事態が発生してしまうのです。

 

この件について県に確認したところ 理論的にはそれで問題ないという回答をいただきました。

 

しかし受審はできるが白色のままでは好ましくないそうです。

 

「好ましくない」という言葉を繰り返し仰っておりました。

 

白色申告では、貸借対照表の信憑性に疑問が残りますし、青色と同じ専従者なのに賃金払わなくてもOKってどうなのよ?という話になりますよね。

 

やはり、同等の条件で受審されることが望ましいですよね。

 

ということで、初年度は白色申告で受審しても認められると思いますが、いつまでも白色のままだと指導が入ると思います。

 

できるだけ早めに青色申告に切り替え、経審に必要な科目(仮払消費税・仮受消費税・完成工事高)を明確にしておきましょう。

当事務所では

ハイ。承っております。

 

決算終了後の変更届出書までは自分で、経営状況分析・経審はお願いします。

 

という業者様もいらっしゃいます。

 

建設業関連業務は全てセットでないと受けません。という同業者様もいらっしゃますが、当事務所では単品依頼OKです。

 

お気軽にお問合せくださいね。

 

因みに毎年、年度が変わると再審査についての受審要領が公開されますが、該当するお客様には(点数が上がりそうな場合)当事務所からfaxにてご案内させていただいております。

 

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