飲食店を開業したい
飲食店の開業を希望する場合、申請先は管轄の保健所となります。
こちらに関してもやはり、事前相談をした方がスムーズに事が運ぶと思われます。
ポイントは、衛生面の管理の徹底です。
食中毒予防のために必要最低限の要件はクリアしなければなりません。
シンクや厨房設備など、基準を満たしているかどうかの確認は必要になりますね。
更に、OPENしてからでは取り返しのつかない部分もございます。
例えば、油を多く使用する料理を提供したり、焼肉店などを営む場合、排気で近隣に迷惑が掛からないように事前に換気設備の工事が必要になる場合もございます。
上記のように、既存の設備をそのまま使用すると問題が発生する事もありますので、細かい部分の取りこぼしがないようにするためにも、事前相談をオススメ致します。
先に記載した『風俗営業』で飲食物を提供する場合、飲食店の許可も必要となりますので、飲食店及び風俗営業双方の許可の基準をクリアできる!と確信してから物件の契約をするようにしてくださいね。
最近では、キッチンカーの申請が増えているようです。
キッチンカーの場合は、ここに記載されている要領の他、車両は8ナンバーを取得しなければならないなど、多少ステップが多くなります。
チェックすべき事項
a.厨房設備やカウンター下など、シンクについては2層以上あること、蛇口から60℃以上のお湯が出ることが条件となります。
水とお湯が両方出るタイプならOK。水しか出ないタイプでも給湯器を設置すれば大丈夫です。
水栓については、レバー式、自動センサー式又は足ペダル式等、手で触れなくても水が出る構造のものでなければNGです。(最低1ヶ所)
厨房とカウンターが同スペースにあるなら、シンクは1ヶ所でOKですが、別室と見做される構造になっている場合、カウンター下では絶対に調理(お酒をかき混ぜる作業を含みます)をしないという場合を除き、厨房・カウンター下ともにシンクを設置しなくてはなりません。
b.手指の消毒(手洗い)液を厨房とトイレ内に設置しなくてはなりません。
容器は、洗面台や壁などに固定することになっております。
c.客室スペースと調理作業をするスペースが分かれていること。
d.食器棚には扉がついていること。
e.窓・出入口・排水口その他必要な場所には、ねずみ族及び昆虫の侵入を防ぐ設備があること。
f.冷蔵庫と厨房には温度計を設置すること。
g.厨房の床と壁に安全面・衛生面で必要な措置が施されていること。
h.施設に、作業衣等を備えた更衣設備があること。
i施設は.換気が十分にできる構造になっており、熱や蒸気が著しく発生する場所には換気装置を設置すること。
j.汚水及び臭気の漏れない構造でかつ、十分な大きさの耐水性の廃棄物容器を備えること。
フタ付きゴミ箱 等
欠格事由に該当しないことをご確認ください。
食品衛生法違反をした後、2年を経過していない者
食品営業許可の取り消しを受けた日から2年を経過していない者
申請書類
申請書類については、下記の通りです。
@営業許可申請書
A建物の平面図
B営業施設の構造を記載した平面図(調理室・製造室等の詳細図)
C営業施設の大要
D参考事項(飲食店営業、食肉販売業、食肉処理業、各種製造業)
E水道水以外の水を使用するときは、最近6か月以内に行った使用水の試験成績書
F営業施設付近の地図
G法人の場合は、定款又は登記簿謄本
H食品衛生責任者設置届・・・資格を証する書類又は誓約書
I許可申請手数料16,000円
申請後、保健所の立ち入り調査があり、その後に営業許可証の交付となります。
食品衛生責任者の設置が義務付けられておりますので、講習会の受講等、お忘れなく。
飲食店の許可については、有効期限がございます。
引き続き営業を希望する場合は、期限満了前に更新申請をしなくてはなりません。
営業に際して
既に、営業している飲食店については、2019年度中にステッカーの配布があったと思いますが、そのステッカーは店舗の出入口の見易い場所への掲示が義務付けられております。
店内を喫煙可・分煙・禁煙のどれにするのかを選択することができます。
しかし、2020年4月1日以降に新たにOPENという飲食店については、禁煙店のみとなっております。
平成30年6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律の概要は下記の通りです。
@広域的な食中毒事案への対策強化
国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や、拡大防止のため、相互に連携や協力を行うこととすると共に、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。
AHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
原則として、すべての食品等事業者に一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
事業者が、食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められている。
B特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。
C国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の設備
食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。
D営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設
実態に応じた営業許可業種の見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。
★34業種一覧
乳処理業・乳製品製造業・食肉処理業・食肉製品製造業・魚介類競り売り営業・食品の冷凍又は冷蔵・清涼飲料水製造業・氷雪製造業・食用油脂製造業・マーガリン又はショートニング製造業・そうざい製造業・缶詰又は瓶詰食品製造業・添加物製造業・特別牛乳搾取処理業・飲食店営業・魚肉練り製品製造業・みそ製造業・醤油製造業・ソース類製造業・酒類製造業・菓子製造業・あん類製造業・アイスクリーム類製造業・乳酸菌飲料製造業・氷雪販売業・豆腐製造業・納豆製造業・めん類製造業・喫茶店営業・乳類販売業・集乳業・食肉販売業・魚介類販売業・食品の放射線照射業
E食品リコール情報の報告制度の創設
営業者が自主回収を行う場合に、自治体への報告する仕組みの構築を行う。
Fその他
乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等
HACCPについて
改正食品衛生法により、対象事業者は、2021年6月までにHACCPの導入が必要になります。
対象事業者は、すべての食品等事業者です。
製造から販売、すべてです。
食品衛生上の危害発生を防止するために、特に重要な工程を管理するための取り組み
(HACCPに基づく衛生管理)
対象業種:大規模施設等・屠畜場・食鳥処理場
取り扱う食品の特性に応じた取り組み
(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)
対象業種:次に該当する業種
@小規模事業者(従業員50人未満)
A小売販売のみを目的とした施設(菓子屋・肉屋・魚屋 等)
B提供する食品の種類が多い業種(レストラン・給食施設・そうざい屋 等)
C一般衛生管理で対応が可能な業種(物販や保管のみの業種・運搬業 等)
多くの事業者様はB基準に該当します。
@衛生管理計画の作成
一般的衛生管理・重要管理について作成します。
A基準 | B基準 |
施設の衛生管理 |
原材料の受入の確認 |
上記に関してのマニュアルを作成します。
衛生管理のガイドラインです。この通りに進めていけば、一定の水準を保つことができるとされております。
@HACCPチームを作る
A製品説明書の作成
B用途・対象者の確認
C製造工程表の作成
D製造工程図の現場確認
E危害要因の分析
F重要管理点(CCP)の決定
G管理基準(CL)の設定
Hモニタリング方法の設定
I不具合があったときには「改善措置」の実施
J定期的に「検証」を行う
K記録の文書化と保管
A基準の業者様の場合は、上記すべてを満たさなくてはなりませんが、B基準の業者様の場合は衛生管理計画作成・危害分析・重要ポイントの特定・記録等の一部のみが義務付けられることとなっております。
これらの記録は、1年程度は保管しておく必要があります。
保健所の食品衛生監視員から提示を求められた場合は、速やかに提示しましょう。
食品衛生法改正
令和3年6月1日に食品衛生法が改正されました。
主な改正点は次の通りです。
これまでは、許可業種は34でしたが、改正後は32業種に再編されることとなりました。
*新設または統一された業種一覧
旧法 | 新法 | 旧法 | 新法 |
飲食店営業 |
@飲食店営業に統一 |
氷雪製造業 | 氷雪製造業 |
食肉販売業 |
@食肉販売業 |
氷雪販売業 | 届出になります。 |
魚介類販売業 |
@魚介類販売業 |
届出だったもの | 新設:液卵製造業 |
魚介類せり売営業 | 魚介類せり売営業 |
食用油脂製造業 |
食用油脂製造業 |
集乳業 | 集乳業 |
みそ製造業 |
新設:みそ又はしょうゆ製造業 |
乳処理業 | 乳処理業 | 酒類製造業 | 酒類製造業 |
乳酸菌飲料製造業 |
@乳処理業 |
豆腐製造業 | 豆腐製造業 |
特別牛乳搾取処理業 | 特別牛乳搾取処理業 | 納豆製造業 | 納豆製造業 |
食肉処理業 | 食肉処理業 | めん類製造業 | 麺類製造業 |
食品の放射線照射業 | 食品の放射線照射業 | そうざい製造業 |
@そうざい製造業 |
菓子製造業(パン製造含む) |
菓子製造業に統一 | 食品の冷凍又は冷蔵業 |
@冷凍食品製造業 |
アイスクリーム類製造業 | アイスクリーム類製造業 | 届出だったもの | 新設:漬物製造業 |
乳製品製造業 | 乳製品製造業 | 缶詰又は瓶詰食品製造業 |
密封包装食品製造業 |
清涼飲料水製造業 | 清涼飲料水製造業 | ソース類製造業 |
密封包装食品製造業 |
乳類販売業 | 許可ではなく、届出書の提出 | 添加物製造業 | 添加物製造業 |
食肉製品製造業 | 食肉製品製造業 | 新設:食品の小分け業 | |
魚肉ねり製品製造業 |
新設:水産製品製造業 |
*改正後の許可対象業種一覧
飲食店営業 | 調理の機能を有する自動販売機 | 食肉販売業 | 魚介類販売業 |
魚介類競り売り営業 | 集乳業 | 乳処理業 | 特別牛乳搾取処理業 |
食肉処理業 | 食品の放射線照射業 | 菓子製造業 | アイスクリーム類製造業 |
乳製品製造業 | 清涼飲料水製造業 | 食肉製品製造業 | 新:水産製品製造業 |
氷雪製造業 | 新:液卵製造業 | 食用油脂製造業 | 新:みそ又はしょうゆ製造業 |
酒類製造業 | 豆腐製造業 | 納豆製造業 | 麺類製造業 |
ぞうざい製造業 | 複合型そうざい製造業 | 冷凍食品製造業 | 複合型冷凍食品製造業 |
新:漬物製造業 | 密封包装食品製造業 | 新:食品の小分け業 | 添加物製造業 |
*食品または添加物の輸入業
*食品または添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(冷凍・冷蔵倉庫業を除く)
*常温で長期保存可能な包装食品の販売業
*合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
*器具容器包装の輸入又は販売業
*営業以外の給食施設のうち、1回の提供食数が20食程度未満の施設
*農家・漁家等が行う採取の一部と見做せる行為(出荷前の調整等)
裏を返せば、上記7業種以外のものは、許可又は届出が必要ということになります。
その後は、新食品衛生法に基づく許可申請に統一されます。
その後は、新食品衛生法に基づく届出が必須となります。
これまでは、申請方法は紙申請で窓口受付でしたが、令和3年6月1日から電子申請がスタートしました。
対応については、電子申請&紙申請を併行、電子申請のみ、紙申請のみ、と各保健所でまちまちです。
詳細は管轄の保健所にお問い合わせください。
手数料(証紙)は窓口で手続きとなります。
当事務所では
許可申請作成・提出代行は承っております。
HACCPについては、2018年以降、講習会等に何度か参加させていただいております。
今後、必要があればHACCPを取り入れた衛生管理等の帳簿作成についてもアドバイスさせていただければ、と思います。