他の法令が絡んできます。確認作業等は入念にお願いいたします。

行政書士 神尾智子 事務所

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中間処分と最終処分

産業廃棄物の概要については、こちらをご覧ください。

 

中間処分場

産業廃棄物収集運搬業者が運搬する廃棄物を受け入れ、リサイクルを前提に処理したり、最終処分場へ運搬するために産業廃棄物を減容する業務を行う施設です。

 

中間処分場で行われる作業には次のようなものがございます。

破砕処理

産業廃棄物を砕いて体積を小さくする処理

焼却

産業廃棄物を焼却して減量させる処理

脱水

産業廃棄物(汚泥)の水分を飛ばし、体積・重量を減らす処理

中和

廃酸・廃アルカリを中和させる処理

溶融

廃棄物を1,400℃以上の高温で加熱し、有機物を燃焼させる処理。石綿を無害化させる時もこの処理を行うようです。

選別

色々な廃棄物が混在している場合に、種類別に分ける処理

最終処分場

中間処分場で行われた廃棄物の処理で排出された残渣を安定させるための処理をする施設です。

安定型

有害物質が溶け出したり、腐敗しないもの、物質の性質が変化しないもの、廃プラスチック類・金属くずやがれき類などを埋立処分する施設です。

遮断型

基準を超える有害物質を含むもの、燃えがら・ばいじん・汚泥・鉱さい等、無害化処理が難しいものを埋立処分する施設です。

管理型

安定型最終処分場で処理できないもの、遮断型でしか処理できないもの、腐敗してしまうもの、地下水を汚染する恐れのある産業廃棄物を埋立処分する施設です。

 

廃油(タールピッチ類に限る)、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物のふん尿、動物の死体、燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さい等及びその廃棄物を処分するために処理したもの(施行令第2条第13号)を埋立処分します(施行令第7条第14号ハ)。

 

構造基準・維持管理基準は下記の表の通りです。

最終処分場の種類 構造基準 維持管理基準
遮断型最終処分場

*貯留構造物(外周・内部仕切り設備)の仕様(鉄筋コンクリート製等)を設定
*一区画の規模(埋め立て面積50m2以下、埋立容量250m3以下)を設定
*地表水の埋立地へ流入を防止できる開渠等を設置
最終処分場の中で最も厳重な構造

埋立処分終了後は外周仕切設備と同等の覆いにより有害物質が漏れださないように閉鎖
安定型最終処分場 外部からの表流水が流入しないような浸透水採取設備を設置する

*浸透水の水質検査の実施
*搬入物の展開検査の実施
*埋立処分終了後に埋立処分以外に利用する場合は約50cm以上の土砂等の覆いにより開口部を閉鎖

管理型最終処分場

汚泥等を埋立するため
*浸出液処理設備を設置
*二重の遮水層を設置(地盤の透水性が条件)
*地表水の埋立地へ流入を防止できる開渠等を設置

*放流水の排出基準の遵守
*発生ガスの対策と管理
*埋立処分終了後は約50cm以上の土砂等の覆いにより開口部を閉鎖する

 

処分業の許可は2つあります

処分業を営むにあたって、処分業の許可のみでいいのか、施設設置の許可も必要なのか、ということをまず考えなくてはなりません。

 

単純に破砕機1台のみ、処理能力が1日5tを超えない場合は処分業の許可のみで足ります。(いわゆる14条施設)

 

しかし、下記の表に該当する場合は施設設置許可と処分業の許可の2つが必要となります。

 

更に、生活環境影響調査(環境アセスメント)の対象となります。

処分施設の分類 規模 備考
第1号 汚泥の脱水施設 処理能力10m3/日を超える
第2号 汚泥の乾燥施設

天日乾燥以外・・・処理能力10m3/日を超える
天日乾燥・・・処理能力100m3/日を超える

第3号 汚泥の焼却施設

次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力5m3/日を超える
ロ)処理能力200s/h以上
ハ)火格子面積2m2以上

PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く
第4号 廃油の油水分離施設 処理能力10m3/日を超える 海洋汚染防止法第3条第14号の廃油処理施設を除く
第5号 廃油の焼却施設

次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力1m3/日を超える
ロ)処理能力200s/h以上
ハ)火格子面積2m2以上

*海洋汚染防止法第3条第14号の  廃油処理施設を除く
*廃PCB等を除く

第6号 廃酸・廃アルカリの中和施設 処理能力50m3/日を超える
第7号 廃プラスチック類の破砕施設 処理能力5t/日を超える
第8号 廃プラスチック類の焼却施設

次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力100s/日以上
ロ)火格子面積2m2以上

PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く
第8号の2 木くず又はがれき類の破砕施設 処理能力5t/日を超える
第9号 金属等(令別表第3の3に掲げる物質)又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設 すべての施設
第10号 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 すべての施設
第11号 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設 すべての施設
第11号の2 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設 すべての施設
第12号 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 すべての施設
第12号の2 廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 すべての施設
第13号 PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設 すべての施設
第13号の2 上記第3号、第5号、第8号、第12号以外の焼却施設

次のいずれかに該当するもの
イ)処理能力200s/h以上
ロ)火格子面積2m2以上

第14号

イ)遮断型最終処分場
ロ)安定型最終処分場
ハ)管理型最終処分場

すべての施設
すべての施設(水面埋立地を除く)
すべての施設

許可申請の流れ

このカテゴリーをどうまとめようか悩んでおりましたが、他の法律との関係性もあり、一概にこうです、とは言えません。

 

また、安易に「イケます!!」とも言い難い業務であり、15条ほどではないものの、長いスパンで見ることが必要です。

 

なので、大まかな流れだけを記載することにします。

14条施設の場合
施設設置場所の調査

近隣の状況、学校や病院が有るか、道路の状態や処分場からの排水経路等の点検。

土地の測量・計画図の作成
市町の土地利用事業申請

土地利用指導要綱に該当する場合に必要です。
この辺りで住民説明会を開催し、地元の皆様の同意をいただきます。

条例に基づき、必要なものを申請・届出
造成工事
処理施設及び保管施設の設置工事
処分業許可申請
担当部署による現地調査

細かいです。全部測ります。

許可証の交付

       

15条許可施設の場合
事前準備
事前協議書提出
環境調査

生活環境影響調査(環境アセス)
大気汚染・水質汚染・騒音・振動・悪臭の調査
ミニアセスで約3ヶ月、通常の環境アセスは約1年半かかります。

条例手続

事業計画書の提出
住民説明会の実施

施設許可申請
施設施工
処分業許可申請
許可証交付

 

設置から許可までスムーズに進んで3〜5年です。

申請書類・添付書類

産業廃棄物処分業許可申請書(様式第8号)
事業計画の概要を記載した書類(様式第7号の1〜5)
平面図、立面図、断面図、構造図
設計計算書
付近の見取図
施設配置図
公図の写し
施設及び重機の写真等
産業廃棄物処理工程図
保管量の上限を示す図面及び計算書
保管高の上限を示す図面及び計算書(屋外で容器を使用しない場合)
(最終処分業の更新)残面積・残容量実測図
(最終処分業)地下水等試験検査成績書
(最終処分業)地形地質図等
(最終処分業)地下水状況図
土地登記事項証明書・土地使用権原書類・施設使用権原書類等の土地の所有権限、使用権限を有することを証明する書類
処分後の産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処理方法を記載した書類(様式第11号)
海洋処分登録済証の写し(必要な場合)
・講習会修了証の写し
様式第15号(修了者が役員又は政令使用人に該当しない場合)
事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類(様式第 12 号)
直前3年の各事業年度における貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表並びに法人税納税証明書その1
資産に関する調書(様式第13号)(個人事業者)
定款又は寄附行為
登記事項証明書(法人)
誓約書
住民票の写し及び登記されていないことの証明書等(個人事業主・法人の役員・監査役・持株5%以上の株主)株主が法人の場合はその法人の登記事項証明書
使用人を置く場合、使用人の住民票の写し及び登記されていないことの証明書等
(特管の場合)特別管理産業廃棄物の性状の分析を行う設備の概要を記載した書類
(特管の場合)特別管理産業廃棄物の性状の分析を行う者が十分な知識及び技術を有することを証する書類
使用人を置く場合、使用人の権限を証する書類
他法令等の許認可証等の写し
許可証の写し(更新・変更許可の場合)

他法令との関連

このような申請も必要になることがあります。
都市計画法第29条 開発許可
都市計画法43条 建築許可
道路占用許可
河川占用許可
林地開発許可
農地法
大気汚染防止法
水質汚濁防止法
砂防法
振動規制法 など

他にもございますが、主なものを挙げてみました。

石綿含有廃棄物等処理の改定について

令和3年4月1日以降、環境省は「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」を改定し、これまでの石綿含有仕上げ塗材について、施工当時に吹き付け工法で施工されたものは「特別管理産業廃棄物の廃石綿等」に、それ以外の工法で施工されたものは「産業廃棄物の石綿含有廃棄物」に区分してきましたが、今後は工法を問わず「産業廃棄物の石綿含有産業廃棄物」として取り扱うことになりました。

 

また、「石綿含有産業廃棄物」は主に「がれき類」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当するものとしてきましたが、石綿含有仕上塗材が廃棄物になったものは「石綿含有産業廃棄物」の「汚泥」に該当するものがある、としました。

マニュアルへの追記等

石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものについては石綿含有廃棄物になることを示し、石綿含有成形板が廃棄物となったものよりも比較的石綿の飛散性の高いおそれのあるものである旨を注記することになりました。

 

石綿含有けい酸カルシウム板第1種が廃棄物となったものは石綿含有廃棄物になることを示し、石綿含有成形板が廃棄物となったものの中でも比較的石綿の飛散性の高いおそれのあるものである旨を注記することになりました。

 

石綿含有廃棄物が排出される解体等工事において、廃棄される石綿が付着している可能性のある用具又は器具の廃棄物の取扱いについて追記し、付着物については石綿含有廃棄物の中でも比較的石綿の飛散性の高いおそれがある旨を注記することになりました。

 

処理については、解体等の作業場から搬出後の廃棄物保管場所までの移動において、石綿含有廃棄物の排出時においても飛散防止措置が必要。

 

石綿含有廃棄物が@木材その他の有機繊維を含んだ廃棄物、A汚泥等の安定型産業廃棄物以外の廃棄物に該当する場合は、管理型最終処分場又は遮断型最終処分場で処分する必要があるとしました。

 

石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものについては、石綿含有廃棄物の中でも石綿の飛散性が比較的高いおそれがあり、廃棄物の性状を考慮した場合、袋の破損等により流出する蓋然性が高いことから、排出時に耐水性のプラスチック袋等により二重でこん包することが望ましいとすることが追記されました。

 

埋立方法については、@袋又は容器等に入れたまま埋立を行うようにするA埋立時に重機等によりその袋又は容器等を破損しないよう留意する旨が追記されました。

廃石綿

改訂後の廃石綿等に該当する石綿建材の具体例は下記の通りです。

区分

石綿建材の具体例 製造期間

密度
(g/cm3)

石綿含有吹付け材

吹付け石綿
石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)
石綿含有ひる石吹付け材
石綿含有パーライト吹付け材

石綿含有保温材

石綿保温材
石綿含有けいそう土保温材
石綿含有パーライト保温材
石綿含有ひる石保温材
石綿含有けい酸カルシウム保温材
石綿含有水練り保温材

1960〜1978
〜1974
1965〜1974
〜1987
1940〜1983
〜1988

0.3 以下
0.5 以下
0.2 以下

0.22 以下

石綿含有断熱材

屋根用折版裏石綿断熱材
煙突石綿断熱材

1958〜1983
1964〜1991

0.5 以下
石綿含有耐火被覆材

石綿含有耐火被覆板
石綿含有けい酸カルシウム板第2種

〜1983
〜2004

0.5 以下
☆ Last Update :
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