解体工事が独立した業種になりました。
平成28年6月1日以降、それまでとび・土工工事業に分類されていた解体工事業が独立した業種になりました。
段階的に経過措置が取られており、現在もその真っ最中でございます。
平成29年6月1日以降、解体工事業をとび・土工工事業から外し、その他工事に計上する措置が取られました。
しかし平成31年5月31日までは、とび・土工工事業の許可を受けていれば500万円以上の解体工事でも施工することが可能でした。
令和3年3月31日までとされておりました経過措置ですが、講習会の定員オーバー等で条件をクリアできていない業者様が多数存在することから、6月30日まで延長されることとなりました。
解体工事業を業種追加する場合、それまでとび・土工工事業の許可の下で解体工事を施工していたのであれば、経管についての許可要件をクリアするのはそんなに難しいことではないと思います。
(平成28年6月以降の期間、直3におけるその他工事の額がゼロだと厳しいですケドね。)
しかし、問題は専任技術者(主任技術者)に関して、です。
一般建設業の場合
税込500万円以上の解体工事を施工するためには、平成31年3月までに解体工事業の業種追加をしなければならなかったわけですが、もうお済みですよね?
令和3年4月からの経過措置後に主任技術者(専任技術者)となるためには、以下の条件をクリアすることが必要となります。
令和3年6月30日までは、とび・土工工事業についての実務経験があれば事足りますが、7月1日以降は解体工事について一定期間の実務経験がなければ技術者としての要件をクリアできませんのでご注意ください。
現在、専任技術者の有資格区分にアルファベットが付いている場合、若しくは99という表示になっている場合に措置が必要です。
保有資格等 | 資格取得年月 | 経過措置後に解体工事業の主任技術者となるための条件 |
---|---|---|
1級土木施工管理技士 |
平成28年度以降 |
なし |
1級土木施工管理技士 |
平成28年度以前 |
解体工事の実務経験(1年以上) |
建設・総合技術監理(建設) |
解体工事の実務経験(1年以上) |
|
とび・とび工(1級) |
1級:不要 |
|
1級建設機械施工技士 |
経過措置期間終了後は、解体工事の主任技術者となることができません。 | |
登録技術試験(種目:解体工事)に合格した者 | 平成17年度以降に当該資格に合格したもの | |
2級建築施工管理技士(建築) |
平成27年度以前の試験に合格した者は、資格取得後に解体工事の実務経験(1年以上)若しくは登録解体 |
|
とび・土工工事業の実務経験(10年以上) | 解体工事の実務経験(10年以上) | |
とび・土工工事業に係る実務経験 |
解体工事の実務経験 |
|
土木工事業及びとび・土工工事業に係る建設工事に関し、12年以上の実務の経験を有する者のうち、とび・土工工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 | 土木工事業及びとび・土工工事業に係る建設工事に関し、12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 | |
<条件を満たす例> |
土木工事業及びとび・土工工事業に係る建設工事に関し、12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 |
特定建設業の場合
特定建設業の場合、令和3年4月以降の経過措置後に解体工事業の監理技術者となるためには、以下の条件をクリアすることが必要となります。
こちらも一般建設業同様、経過措置期間中に解体工事業においての実務経験を積む必要がございます。
保有資格等 | 経過措置後に解体工事業の監理技術者となるための条件 | その他の留意点 |
---|---|---|
1級土木施工管理技士 |
平成27年度以前の試験合格者は |
平成28年度以降の試験合格者については、解体工事の実務経験及び講習の受講は不要 |
建設・総合技術監理(建設) |
平成27年度以前の試験合格者は |
特になし |
とび・とび工(1級) |
左記の資格+解体工事業に関する指導監督的実務経験 | 特になし |
農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」) |
経過措置期間終了後は、解体工事の監理技術者となることはできません。 | |
登録技術試験(種目:解体工事)に合格した者 | 資格取得後、解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | |
2級建築施工管理技士(建築) | 資格取得後、解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | 平成27年度以前に合格した者は、解体工事の実務経験(1年以上)若しくは登録解体工事講習の受講がなければ、解体工事の主任技術者とは認められません。 |
解体工事の実務経験 |
+解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | |
解体工事の実務経験(10年以上) | +解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | |
土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し、12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 | +解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | |
建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し、12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 | +解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 | |
とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を越える実務の経験を有する者 | +解体工事業に関する指導監督的実務経験を要する。 |
監理技術者証の解体の欄に「1」と記載されている場合、必要な実務経験年数を満たしているとみなされます。
従って、講習会の修了証及び実務経験証明書と同等の扱いになります。
2級以下の資格になりますと、指導監督的実務経験の証明が必要になります。
はっきり言ってしまうと指導監督的実務経験の証明はハードルが高いので、特定建設業において解体工事業の許可をご希望の場合は1級の施工管理技士の方を専任にすることをオススメいたします。
さて、上記の表で判断するに、業種追加のための要件をクリアできない!ということもあろうかと思います。
特に、実務経験で専任技術者の証明をしようという場合ですね。
例えば現在有効な許可において、下記のような方がいらっしゃったとします。
許可業種:とび・土工工事業&電気工事業
専任技術者:1名
とび土工工事業:資格者証なし、実務経験証明で専任技術者としての資格要件クリア
電気工事業:第2種電気工事士。3年の実務経験が必要になるため、実務経験証明をして専任技術者としての資格要件クリア
この時点で実務経験1名につき2業種枠を使い果たしてしまっているので、更に解体工事業を...というわけにはいきません。
え〜??でも、解体工事の仕事は来るわけだし、なんとかならないものか...。
という時の救済措置(?)が解体工事業登録と言ったところでしょうか。
解体工事業の登録
解体工事業者の登録制度は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(以下、「建設リサイクル法」という。)(平成 12 年5月 31 日公布法律第 104 号平成 12年 11 月 30 日施行)に基づき行われています。
この法律の目的は、特定の建設資材(コンクリート・アスファルト・木材)について、分別解体及び再資源化等を促進するための措置を取るとともに、解体工事業者の登録制度などにより、資源の有効な利用及び廃棄物の適正な処理を確保することです。
許可と登録は別物であるため、業種追加で要件をクリアできそうにはないけれど、解体工事という工事名が付くものは施工してますor施工する予定があります、という場合はこちらを申請してください。
無許可・無登録で解体工事を施工されることは、県としては好ましくない、という回答をいただきましたので、是非ともその部分については遵守して頂きたいと思います。
許可と登録の相違点については、下記の通りです。
解体工事業の登録 | 建設業の許可 | |
---|---|---|
請負契約締結可能な工事 |
@工作物の解体を行う工事又は総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を解体する工事を行う場合は工事全体の請負代金の額が1件500万円未満の工事 |
1件 500万円以上の建設工事(解体工事を含む)等も可能 |
施工可能場所 | 登録を受けた都道府県 | 全国で可能 |
申請先 | 解体工事を施工する場所(区域)を所轄する都道府県 |
全ての営業所が1つの都道府県にある場合は都道府県 |
技術者 | 1名以上(技術管理者) | 営業所ごとに必要(営業所の専任技術者) |
建設業の許可と大きく違う点は、工事の施工金額は税込500万円未満、施工できる範囲は登録した都道府県内のみ、というところですね。
平成31年の経過措置の終了間近、とび・土工工事業の許可を受けている全業者様に解体工事業の許可又は登録を促す文書が届けられました。
当事務所では、業種追加するお客様も然ることながら、それまで解体工事業に携わっていなかったお客様からも
保険で取っとこうかな〜。ということで、登録申請の方も賑やかでした。
今後、もしかしたら解体工事を施工する可能性があるかも...。という場合はソッコー提出しましょう。
申請したいけど、技術管理者の証明が難しいかな〜という場合は、お気軽にお問い合わせください。
登録の要件
建設業の許可と大体同じです。
欠格事由に該当しないこと、が一番のポイントになるかと思います。
建設業の許可と同様に、罰則規定もございますが、ここでは割愛させていただきます。
気が向いたら記載します。
手続きについて
提出先は、管轄の土木事務所です。
県外に申請する場合は、各都道府県庁へお問合せください。
手数料(証紙代)は新規33,000円・更新は26,000円です。
こちらも建設業同様、5年に一度更新がございます。
3部作成(正本1部・副本2部)して、3部とも提出します。
書類はそのまま都道府県庁に送付され、審査の後に控えの書類1部が直接業者様の元に届きます。
登録完了後、建設業の許可票と同じように、解体工事業者登録票を掲示しなくてはなりません。(タテ25cm以上・ヨコ35cm以上)
建設業許可と同様に、届出事項に変更が生じた場合は登録事項変更届出書とその内容を確認できる添付書類を提出しなければなりません。
提出期限は変更のあった日から30日以内、届出が必要な事項については下記の通りです。
登録を受けた者が下記のような変更をする場合は、改めて登録を申請し直す必要があります。
その場合、登録番号を引き継ぐことはできません。
廃業する場合
廃業届の提出が必要な場合は、下記の通りです。
いずれも、30日以内の届出を要します。
当事務所では
業種追加か登録、どちらがBetterか、というお問合せをいただくことがございますが、ケースバイケースです。
専任技術者がいらっしゃるなら業種追加、専任技術者の証明が難しい場合はとりあえず登録でいってみましょうか?という感じでしょうか。
中には、全く必要がないにも関わらず、『でも取りたい』というお客様もいらっしゃいます。
お話を詳しく聴かないと判断が難しい側面もございますので、迷った時にはお気軽にお問合せくださいね。