当事務所が長きに渡って継続している業務の一つです。
行政書士の業務の中でポピュラーなものの一つと言えると思います。
当事務所でも、先代の開業当時から手掛けている業務でありますし、多くの先生方が一度は作成したことがあるのではないでしょうか。
最近では、一人親方の個人事業者様の申請も増えておりますね。
許可を取得しないと現場に入れなくなってしまうんです!
ということが申請の動機になっていることが多いですね。
現在は、なんでも「許可、許可、許可」な時代になってきておりますので、許可を取るということは、業務拡張のための投資という風に捉えないといけないのかもしれません。
許可要件をどうにかクリアして許可を取得してめでたしめでたし...で終わればイイんですケド、許可を取得してしばらく経つと、今度は元請さんから
法人にしてよ。
と言われた、という話をよく聞きます。
法人化の話は後ほど書きますが、許可取得からの法人のススメは割とあるあるなので、頭の片隅に置いていただければ幸いです。
許可の要件、3つをクリアする必要があります。
さて、許可を取るためにはどうしたらいいのか。
多くの行政書士の先生方のホームページに謳われているので、今さら感満載ですが書きます(笑)。
一般建設業の場合を例に取ります。
大まかには以上となります。
一番のネックになるのは、2番の専任技術者ですね。
他は気合いと根性でなんとかなる場合がございます。
経営業務の管理責任者がいること
では、上から順に追っていきたいと思います。
経営業務の管理責任者の要件を満たすことができるのはこんな方です。
法人の役員・執行役・個人事業の支配人は登記を要します。
詳細は、お問合せください。
専任技術者がいること
経管の要件をクリアしてもココで躓く方、多数です。
専任技術者とは...多くのHPで書かれていると思うので、ここでは割愛します。
要するに、
その営業所に常勤して、その職務を専門に従事する技術者さんが、許可を受けようとする建設業に関して国家資格や実務経験を有しているか否か。がポイントです。
一般建設業の場合を例に取ります。
a.大学の指定学科卒業後、3年以上の実務経験
b.専門学校(高度専門士取得)の指定学科卒業後、3年以上の実務経験
c.高等専門学校の指定学科卒業後、3年以上の実務経験
d.専門学校(専門士取得)の指定学科卒業後、3年以上の実務経験
e.高等学校の指定学科卒業後、5年以上の実務経験
f.専門学校(専門学校専門課程終了)の指定学科卒業後、5年以上の実務経験
g.上記以外の学歴の場合は10年以上の実務経験
h.海外での工事の実務経験を有する者で、経験の内容につき国土交通大臣の個別審査を受け、その認定を受けた者
i.複数業種について一定以上の実務経験を有する者
所謂、施工管理技士や○級技能士等などの資格を保有していれば、許可申請はスムーズに進みます。
しかし、意外にgが多数なのも事実です。
10年分の裏付け資料を揃えて頂くところから始めます。
10年分揃わない場合、営業年数をクリアしているのであれば、何とか、何とか探してください。
こちらもできる限り協力は致します。
揃わない理由としては『昔の資料は廃棄してしまった』・『他社での経験があるが、証明する術がない』等、でしょうか。
実績はあるのに!!と、悔しい思いをされている業者様もいらっしゃると思います。
しかし、現時点では救済措置はナイも同然です。
こちらから申し上げられることは
昔の資料は捨てないで!
出来れば資格を取得してください。
この2点です。
資格がないなら、実務経験で証明するしかありません。
専任技術者の証明は、資格者証が一番確実ですし、申請もスムーズに進みます。
しかし、どうしても実務経験で証明したい!という方も多数いらっしゃいます。
この場合、裏付けとして認められる資料の範囲が狭い上に、整合性を証明するための資料をこれでもかっ!というくらい要求されます。
都道府県によって多少の相違がございます。
例えばですが、静岡県では実務経験を証明するものとして認められているのは、証明者が請け負った工事のみで人工は認められておりません。
しかし、お隣の県では『実務としての経験という意味では十分足りる』ということで、人工も認められております。
ということで、静岡県の基準は少し厳しく設定されているということがお分かりいただけると思います。
証明したい期間に施工した工事の請負契約書
証明したい期間に施工した工事の注文書及び注文請書
証明したい期間に施工した工事の請求書及びその入金履歴のわかるもの
この3点のうちのいずれか、となっております。
例えば、2業種の専任技術者を1名の技術者さんが兼務する場合、
A業種平成元年〜平成11年・B業種平成12年〜平成22年というように、経験期間が被らないようにしなければなりません。
単純計算で、2業種で満20年以上の裏付け資料が必要となります。
ただし、実務経験要件の緩和が認められている業種に該当する場合は、2業種で18年・16年等に短縮されます。
実務経験で専任技術者の要件をクリアした技術者さんが、務めることができるのは1名につき2業種までです。
3業種以上務めることはできません。
ここが有資格者との大きな違いになる部分ですね。
資金調達はスムーズにできますか?
建設業の許可を受けるに当たって、健全な経営が為されていることが必要です。
これを財産的基礎又は金銭的信用を有していると言います。
上記のことを証明するために、以下のいずれかに該当しなければなりません。
一般建設業の場合を例に取ります。
法人の場合は、貸借対照表の純資産合計の額を指します。
個人事業者の場合は、期首資本金(元入金)+事業主借+事業主利益-事業主貸+利益保留性の引当金+準備金の額
a.金融機関の500万円以上の残高証明書
(取得から1ヶ月以内に申請しなければならないので、提出直前にお願いしております。)
b.金融機関等から500万円以上の資金について融資を受けられる能力があること
(融資証明書)
通常は、残高証明書をお願いしております。
融資証明書は金融機関によってはイイ反応を頂けないことがございます。
その他の注意事項
大まかには、上に掲げる3つの条件がクリアできた時点で必要書類を揃えて頂くためのご案内を送付させていただいております。
書類の作成が大詰めを迎えた頃、営業所の写真を撮影させていただいております。
これは、実際にその場所で事務処理を行っているかどうかを確認するため、写真の添付を求められます。
新規申請の場合は、建物外観・商号(屋号)表示場所・営業所内部を四隅から1枚ずつ、什器・来客時の対応場所があるかどうかなど、結構な枚数を撮影することになります。
更新申請の場合は、これまで許可票の遠景及び近景のみの添付でしたが、令和3年度から建物外観の写真も添付することになりました。
許可の申請においては、新規だけでなく更新の場合もですが、
役員等氏名一覧に記載された方々について 犯歴照会 がございます。
照会でNGが出た場合、不許可となります。
しかも、その際に貼付した手数料(証紙・印紙)は返金されませんのでご注意くださいね。
他にもNG項目がございますが、詳細はお問合せください。
コレはダメ!な事項
今まで自営をしていたけど、確定申告をしたことがない。でも自営はしてたんです!
自営をしていたという証明は「所得証明書」「確定申告書」が裏付け資料となります。
申告をしていない時点で、自営をしていたとは認められません。
また、許可を受けるためにまとめて確定申告をする方がいらっしゃいますが、それまでサボっていたわけなので、毎年真面目に申告していた方と同等の扱いにはならない場合もございます。
自営していたことにして、適当な数字で申告することも可能なので、それを疑う判断になることがあります。
裏付け資料がないということは、許可申請への道のりは非常に厳しいと言わざるを得ません。
税務署へ提出した「開業届」を求められる場合もございますので、各種申告は真面目にしていくようにしてください。